オーストラリア 留学支援 iaeメルボルン支店 ▸ 留学生インタビュー ▸ 中内 一さん [ 専門学校 ]
オーストラリア留学生インタビュー
オーストラリア専門学校
[ 留学、そして学校の選択までの経緯を教えてください ]
初めてオーストラリアに来たのは18才の高校を卒業してすぐでした。当時はとりあえず英語を勉強し、他文化に触れるということが目的でした。この時点ですでに専門学校・大学への進学を考えていたのですが、何を勉強するかは決めていませんでした。ただ、父親が福祉関連の仕事をしているということもあり、オーストラリアの福祉制度がどういうシステムで働いているのか、すでに興味はもっていましたし、実際に半年間住んでみてオーストラリア人の暖かいくオープンなコミュニケーションを通して、こういったコミュニケーションがどのように福祉社会に影響しているのかにとても興味持っていました。半年英語をホーソン・イングリッシュ・ランゲージ・センターで学んで日本へ半年間帰国し、学費を貯めてメルボルンに戻ってきました。
学校に願書を提出する時点で3校(La Trobe大学 Foundation、Southbank TAFE、Holmesglen TAFE)に絞込み、その上でどの学校でどんな科目が勉強できるか、どのくらいの実習の時間が設けてあるか、授業はどれくらい実践的なのかなどを基準にし、最終的にHolmesglen TAFEのDiploma of Community Welfareへの進学を決意しました。
Holmesglenに決めた理由の一つとして、他の学校に比べて実習時間が若干多めに設定してあったこと、学校の授業内容に実践練習が多く含まれていることでした。自分では、理論を理解することは大事だと思いながらも、それでもロールプレイやインタビュー形式での実践に即した授業内容があっていると思い、そこに決めました。そして、1年時に225時間、2年時に260時間と決められていた企業実習も、基本的に学校側がアレンジに協力してくれると知ったことが大きかったです。
[ 実際の授業内容はどのような感じでしたか? ]
まず、前期・後期それぞれ6教科あって、実際学校へ行く日数は3日だったのですが、アサインメント(宿題)の多さに、休みがほとんどありませんでした。授業は大きく分けて理論部分と実践部分に分かれていて、理論系の教科では社会学、Advocacy、OH &S(職場・労働者を安全に保つよう定められた各種法律)、心理学、メンタルヘルスなどでした。その時まで福祉分野の勉強はしたことがなかったので、特に英語で複雑な理論を勉強するのはとても大変でした。
実践系の科目は、コミュニケーション、カウンセリングなどがあり、その中で多くのロールプレイがありました。ケースマネージメントのクラスでは一つのケースシナリオを使いました。自分達が実際使ったシナリオはDVクライアントが来たという設定でした。自分がケースマネージャー、他の生徒が警察、DVワーカー、病院でのソーシャルワーカー、クライアントの息子、女性支援機関の住居斡旋ワーカーなどを役割分担して、みんなの前でプレゼンテーションをしました。もちろん、このプレゼンテーションをする前にグループのみんなと事前に打ち合わせ(どういう風にCaseを運んでいくか)をしたんですが、一旦ロールプレイが始まると、オーストラリア人の生徒は皆興奮してしまって、まとめるのが大変だった記憶があります。もちろん、このプレゼンテーションの後に見ていたほかの生徒・先生からもその場でたくさんフィードバックをもらいます。
[ 授業を通してオーストラリアの福祉に対しどんな印象を持ちましたか? ]
授業を通してオーストラリアの福祉システムの全体の流れが分かってくるにつれて、それぞれのクライアントに対する政府の政策がうまくつながっていると思いました。例えば、DV問題に対するサポート機関も確立されているし、移民へのサポート、先住民へのサポート、ドラッグ中毒患者へのサポート網も日本に比べて格段に整っているような気がしました。
[ 実習はどのような感じでしたか? ]
まず、1年目にBurwood Neighbourehood HouseというところでGroup workでの実習を行ないました。
1年目は授業が週に3日あったので、あとの2日を実習にあてました。2年目はNursing Home, KalimunaでCase Managementの実践を行ないました。それに加え、Activity Workも任されました。このナーシングホームは認知症や総合失調症と診断された高齢者が滞在してるところです。なんと、初日の出勤日に一人のクライアントにかなりひどいことを言われて、びっくりしました。ここでは3人のクライアントをスーパーバイザーと一緒に担当し、アセスメント、アクションプランなどを一緒に考えました。アクティビティーでは手先を使ったり、頭脳の運動を促すために折り紙、クロスワードパズル、歌、ワードパズル、車椅子でのショッピング、美術館、そして新聞の読み聞かせなどをしました。
[ 実習を通して日本とオーストラリアの文化の違いなど感じましたか? ]
その施設に喘息で喫煙する患者が居て、自分にタバコをくれと頼まれたときに自分はどうするべきかとても悩みました。患者にも患者の権利がありますし、ナーシングホームでは患者の自由を尊重するという大前提があります。医者でさえもアドバイスは出来ても、喫煙を禁止することは出来ません。Duty of Careの問題とその患者の自由意志のどちらを優先するかという場面に遭遇していろいろと考えさせられました。結局その時は、タバコをあげませんでした。あとでこのことをスーパーバイザーと話し合うと彼女は患者の自由を尊重するという考えでした。この問題を20~30人のワーカーにアンケートをしたところ、この場合、70%以上がDuty of Careが患者の意思よりも大事だという結果が出ました。もちろん、多数決で決まる問題ではないし、本当にこういった問題には答えは無いんだと思いました。
この経験を通して、日本とオーストラリアで違うなと思ったのは、こういう場面で、意見の衝突を恐れないところだと思います。自分のスーパーバイザーと看護師は患者の健康状態をめぐってよく討論をしていました。
2年目の実習は一人の患者からの冷たい言葉で始まりましたが、終わってみるととても有意義なものだったと思います。この実習で学んだことは、相手に対する気配り、目線を合わせる、自分から積極的に話しかけるなどコミュニケーションのとり方などが、ケースマネージメントのような実務的なものと同様に大事なんだと痛感しました。
[ 今後の目標を教えてください ]
今は日本に戻って、日本の福祉科で勉強をしています。オーストラリアと日本の福祉システムの違いのなかで、教育機関でのカリキュラムの違いにとても驚かされています。オーストラリアではより実践に近い勉強をしてきたので、日本での勉強がなんとなく試験対策の一環のような感じがするのは正直な意見です。ただ、もっと勉強・研究を重ねていって、将来は地域福祉に関わる仕事をオーストラリアで出来たらと思っています。